君が眩しく光るから、
僕は対の闇にしかなれないんだ。






「良太郎、また怪我してる・・・。」

泣きそうな顔。

「おはよ!良太郎。」

満面の笑み。

「もう、眠い・・・。」

無防備な姿。

それは全部、この身体の本当の持ち主に向けられいた。



「ねぇ、・・・こっち向いてよ。」

僕がいくら話しかけても、君は振り向いてくれない。
僕が、良太郎じゃないから。

「リュウタロスが、良太郎のこと殺さないって約束してくれたら、そっち向く。」

そうやって、良太郎の事ばっかり。
だから、殺したくなるんだよ。
が僕の事を見てくれないから。

「殺さないよ。
 の事、泣かせたくないもん。」
「本当・・・?」
「うん。」

安心したように笑って、良かったって呟いて。
この身体の為に、表情を変える。
僕の為じゃない。

・・・僕、良い子?」

甘えたように擦り寄ると、さっきとは違って受け入れてくれる。
ゆっくり頭を撫でて、僕が傍に居る事を許してくれる。

「皆と仲良く出来たら、良い子だよ。」

仲良くなんてしたくない。
皆、に近付こうとするから。
でも、が言うなら、その通りにするよ。
良い子になれば、傍に居ても良いんでしょ?

「仲良くするよ。
 だから、も僕と仲良くして?」

そう言って、微笑みかければ、

「うん。」

優しく、微笑み返してくれる。

どす黒い事ばかり考えて、汚い感情が溢れ出している僕に気付かずに。
純白の君は、僕に笑いかける。

その笑顔は、良太郎の為?

あぁ・・・。
ほら、また何か黒いモノが溢れ出す。

こんなに好きなのに、大好きなのに、


殺してしまいたくなる。


僕の事を見てくれないんだったら、
僕の事を愛してくれないんだったら、

僕は、を殺しちゃうよ。

だって、こんなにも苦しくなるのは、のせいだから。
苦しいのは、嫌なんだ。

でも、
でもね?

が居なくなるのも、嫌なんだよ。


君の為に生まれる矛盾が、僕の心を埋め尽くしていく。
こんなもの、いらないのに。

僕の汚い感情も、
溢れ出す黒いモノも、
無くならない矛盾も、



君の強い手が全てしてくれたらいいのに



(全てが僕の、独占欲)




610 : shiki   2007.05.xx